○ 移動平均線
今回は移動平均線を使った過去シミュレーションをしたいと思います。移動平均線は、トレンド追随型の指標として広く一般的に使われています。ご存知の方も多いとは思いますが、ここで移動平均線について簡単に説明させていただきます。
マーケットのトレンド(方向性)は、キャンドル足のチャートだけで分析していては、主観が入ってしまい、なかなかつかめません。移動平均線は、過去の株価の平均値を取り、上下に動き、トレンドのわかりにくいチャートを滑らかに表示し、トレンドをできるだけ明確に判断できるようにしたものです。移動平均線には、単純移動平均、修正移動平均、加重移動平均、指数平滑移動平均などがありますが、今回は、この中で一般的に使われている単純移動平均線による過去シミュレーションの検証をしていきたいと思います。
○ 売買シグナル
移動平均線を使った売買シグナルには、いくつかあります。例えば、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へブレイクしたら買い(ゴールデンクロス)、その逆は売り(デッドクロス)、移動平均線を、株価の終値が下から上へブレイクしたら買い、その逆は売り。その他にも移動平均線を使った様々な売買シグナルはありますが、まずは、ゴールデンクロス、デッドクロスによって売買した場合、どのような結果になるのか検証してみます。
○ バックテスト
過去シミュレーションする場合まず、売買シグナルのルールを明確に決めます。なにしろ、コンピュータが計算しますので、曖昧なニュアンスをコンピュータは理解してくれません。
銘柄・・・出来高上位20銘柄
ロング(買い)・・・40移動平均線が、100移動平均線を下から上へクロス
ショート(空売り)・・・40移動平均線が、100移動平均線を上から下へクロス
クローズ・・・逆シグナルが出た場合
検証期間・・・2003年1月から2004年1月
トレード種別・・・スイング

クローズシグナルが出た場合、すぐに逆エントリーするドテン売買になります。
まずは、わかりやすいよう上のように単純なシグナルで売買した場合、下のような結果がでました。
|
銘柄
|
1年利益合計/1株
|
|
CSCO
|
$6.13
|
|
INTC
|
$5.68
|
|
ORCL
|
($2.14)
|
|
MSFT
|
($0.44)
|
|
AMAT
|
($1.40)
|
|
GILD
|
$6.71
|
|
PSFT
|
($1.44)
|
|
DELL
|
($4.70)
|
|
CNET
|
$1.09
|
|
FDRY
|
$10.17
|
|
LEXR
|
$0.36
|
|
VRTS
|
($0.79)
|
|
NVLS
|
($13.66)
|
|
BRCM
|
$10.67
|
|
JNPR
|
$8.87
|
|
AMZN
|
($7.00)
|
|
YELL
|
$1.19
|
|
NXTL
|
$4.40
|
|
FLEX
|
($0.53)
|
|
SNDK
|
$34.00
|
| 合計
|
$57.18
|
利益は一株あたりの利益です。
合計利益を見るとそれほど悪くないように感じます。しかし、よく見ると、20銘柄のうち、利益が上がっているのは11銘柄で、ほぼ半分の銘柄で損失をだしていることがわかります。また、下表を見ていただければわかるように、
| 銘柄
|
LONG
|
SHORT
|
| CSCO
|
$10.37
|
($4.24)
|
| INTC
|
$10.97
|
($5.29)
|
| ORCL
|
($0.32)
|
($1.82)
|
| MSFT
|
$0.53
|
($0.97)
|
| AMAT
|
$3.91
|
($5.32)
|
| GILD
|
$15.73
|
($9.02)
|
| PSFT
|
($0.09)
|
($1.35)
|
| DELL
|
$1.32
|
($6.02)
|
| CNET
|
$4.22
|
($3.13)
|
| FDRY
|
$15.85
|
($5.68)
|
| LEXR
|
$5.66
|
($5.30)
|
| VRTS
|
$9.66
|
($10.45)
|
| NVLS
|
($3.08)
|
($10.58)
|
| BRCM
|
$18.07
|
($7.39)
|
| JNPR
|
$14.69
|
($5.83)
|
| AMZN
|
$12.28
|
($19.28)
|
| YELL
|
$6.02
|
($4.83)
|
| NXTL
|
$8.05
|
($3.65)
|
| FLEX
|
$2.86
|
($3.39)
|
| SNDK
|
$36.39
|
($2.39)
|
| 合計
|
$173.10
|
($115.91)
|
利益を上げているのはすべてロングで、ショートはすべて損失になっていることがわかると思います。それはなぜでしょうか?

上図は、検証期間と同じ期間のナスダック総合指数のデイリーチャートです。見てお分かりの通り、ここ一年間は完全にアップトレンドだったわけです。つまり、この手法で売買すると、アップトレンド中はショートで利益を上げられないということがいえるのではないでしょうか。
もう少し、利益を効率よく取れるようにし、且つ損切り設定のフィルタを加えてみましょう。
銘柄・・・出来高上位20銘柄
ロング(買い)・・・40移動平均線が、100移動平均線を下から上へクロス+終値が40移動平均線より上
ショート(空売り)・・・40移動平均線が、100移動平均線を上から下へクロス+終値が40移動平均線より下
クローズ・・・ロングの場合、終値が40移動平均線より下、ショートの場合、終値が40移動平均線より上
検証期間・・・2003年1月から2004年1月
トレード種別・・・スイング

先ほどのシグナルよりも、利益確定・損切りシグナルがはやくでることになるはずです。
| 銘柄
|
1年利益合計
|
| CSCO
|
($1.90)
|
| INTC
|
$6.64
|
| ORCL
|
($1.52)
|
| MSFT
|
$1.13
|
| AMAT
|
$6.41
|
| GILD
|
$3.74
|
| PSFT
|
$0.60
|
| DELL
|
$1.67
|
| CNET
|
($0.25)
|
| FDRY
|
$2.43
|
| LEXR
|
$7.63
|
| VRTS
|
$4.28
|
| NVLS
|
$5.03
|
| BRCM
|
$5.44
|
| JNPR
|
($0.76)
|
| AMZN
|
$10.26
|
| YELL
|
$1.35
|
| NXTL
|
$4.33
|
| FLEX
|
$0.99
|
| SNDK
|
$12.68
|
| 合計
|
$70.16
|
今度は、20銘柄中16銘柄が利益を出しています。また、利益も13ドル向上しています。
| 銘柄
|
LONG
|
SHORT
|
| CSCO
|
($0.40)
|
($1.50)
|
| INTC
|
$4.55
|
$2.09
|
| ORCL
|
($1.97)
|
$0.45
|
| MSFT
|
$2.12
|
($0.99)
|
| AMAT
|
$1.60
|
$4.80
|
| GILD
|
$3.03
|
$0.71
|
| PSFT
|
($1.11)
|
$1.70
|
| DELL
|
$2.58
|
($0.92)
|
| CNET
|
$1.09
|
($1.33)
|
| FDRY
|
$4.80
|
($2.37)
|
| LEXR
|
$3.80
|
$3.82
|
| VRTS
|
$3.11
|
$1.16
|
| NVLS
|
$5.91
|
($0.88)
|
| BRCM
|
$8.00
|
($2.55)
|
| JNPR
|
$1.14
|
($1.90)
|
| AMZN
|
$8.24
|
$2.02
|
| YELL
|
$3.21
|
($1.86)
|
| NXTL
|
$3.84
|
$0.48
|
| FLEX
|
$1.68
|
($0.69)
|
| SNDK
|
$5.33
|
$7.35
|
| 合計
|
$60.55
|
$9.61
|
先程は、全ての銘柄で、ショートで利益をだすことができなかったにもかかわらず、利益確定・損切りのフィルターを加えると、利益を上げている銘柄も出てきます。損失額を比べても、新たにフィルターを加えた方が、利益は約30%減ってしまいましたが、損失額は100%以上減少していることが見て取れます。
以上のように、今回は簡単な検証を短い期間でしてみました。もう少し、検討の余地はありますが、使えない手法ではないと思います。最低3年ぐらいは過去シミュレーションをして、勝率・月別利益等を出して結果が良ければ、試してみる価値はありそうです。また、移動平均線だけでなく、他の指標を加えてみても面白いかもしれません。
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